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債権法データベース
債権法データ(2008年更新分)
事故後に別原因で被害者が死亡しても、原則就労可能期間の認定上考慮しない。
被害者が平均的体格ないし通常体質と異なる身体的特徴でも、疾患でない場合、原則賠償額を定めるに当たり考慮不可。
650条3項:受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
転売の場合、再売買の予約完結権者は最初の相手方に権利行使。
転売の場合、買戻権者は転得者に権利行使。
580条3項:買戻しについて期間を定めなかったときは、五年以内に買戻しをしなければならない。
他人物売買の解除で、既に引渡しを受けていた買主は、原状回復義務として、解除までの使用利益返還。
562条の要旨:他人物売買で、買主移転不可のとき、善意売主は解除可。買主悪意なら賠償不要。
書面によらない贈与の撤回権のみの時効消滅はない。
書面によらない停止条件付贈与の条件成就前であれば、引渡し済みでも、贈与撤回可。
507条:相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければならない。
480条:受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
債権者の代理人と称して債権行使する者に対しても478条適用。
指名債権の譲渡予約に確定日付ある通知or承諾がされても、譲受人は、予約の通知or承諾をもって、予約完結による債権譲渡の効力を第三者に対抗不可。
指名債権の二重譲渡で、双方に確定日付ある通知がなされ、同時到達したときは、各譲受人は債務者に全額弁済を請求でき、債務者は同順位の譲受人を理由として弁済の責めを免れない。
447条2項:保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。
423条2項の要旨:債権期限到来前は、裁判上の代位。ただし、保存行為は例外。
特定債権保全のため債権者代位権を行使する場合、債務者の無資力不要。
債権者が、債務者への金銭債権(100万円)を被保全債権として、債務者の第三債務者に対する金銭債権(200万円)を代位行使し得るのは、自己の債権額の範囲内に限られる。
408条:債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する。
410条(不能による選択債権の特定):債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、前項の規定は、適用しない。
2008年更新分
478条:債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
不動産を代物弁済の目的とした場合、第三者対抗要件具備によって債務消滅。
指名債権の二重譲渡で第1譲渡の通知に確定日付がなく第2譲渡の承諾に確定日付があるときは第2譲受人が優先。
他人が有する債権の債権譲渡契約:譲渡人が債権を取得したときに特別の意思表示を要せず当然に譲受人に移転。
遺産分割協議は詐害行為取消権の対象となり得る。
412条2項:債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。
412条3項:債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
411条:選択は、債権の発生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
体系順データ
債権:特定人が他の特定人に対して、一定の行為を請求することを内容とする権利
可能であるかどうかの判断基準:物理的観点だけから判断するのではなく、広く社会観念的な立場から判断しなければならない
債権の目的:債権の内容たる債務者の行為、すなわち給付
債権の目的が確定している:債権成立の時に具体的に確定している必要はないが、履行のときまでにこれを確定しうるだけの標準が定まっていなければならない
軽過失:抽象的過失は、善管注意義務を怠ること。具体的過失は、自己のためにすると同一の注意義務を怠ること
善良なる管理者の注意義務(善管注意義務):行為者の職業、社会的・経済的地位に応じて一般に要求される程度の注意義務。善管注意義務者は、留置権者、質権者、特定物引渡の義務を負う者、受任者、事務管理者、後見監督人、後見人、遺言執行者
自己の財産におけると同一の注意義務:行為者の注意能力に応じた具体的な注意義務。義務者は、無償受寄者、弁済提供後の売主、親権者、限定承認者、相続放棄者、単純承認者の財産分割後の管理
特定物:具体的な取引において、当事者が物の個性に着眼し、同種のものをもってでは、代えることができないもの
種類債権(不特定物債権):種類と数量のみで指示される債権。一定の種類に属する物の一定量を引渡すことを目的とする債権
限定種類債権:一定の場所にある一定量の不特定物の中から給付することを定めた債権
任意債権:1個の給付を債権の本来の目的とするが、当事者が相手方の同意を必要とすることなく、それを他の給付に代える権利(代用権、補充権)をもつ場合
種類債権の特定(集中):種類債権の目的物が特定のものに確定すること。債務者の責任が不当に重くなるのを軽減するために、種類債権の目的を特定のものに定める制度
特定の要件:契約によって目的物を選定した場合又は契約で第三者に指定権を与え、その者に指定させる場合。債権者の同意を得て給付すべき物を指定したとき。債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了したとき
持参債務の特定:債権者の住所において目的物の提供(現実の提供)がなされたとき
取立債務の特定:給付すべき物を分離し、その旨を債権者に通知したとき
送付債務の特定:第三地における履行が債務者の義務のときは、債権者の住所での目的物の提供であり、第三地における履行が債務者の好意に基づくときは、発送時
種類債権の特定の効果:債務者は特定した物を給付すべき義務を負う。双務契約においては、特定時から危険は債権者に移る。債務者は、特定した物を善管注意義務をもって保管し、この物を給付しなければならない。特約なき限り、目的物の所有権が債権者に移転
金銭債権:一定量の金銭の給付を目的とする債権
金種債権:ある種類の金銭をもって一定額を給付することを目的とする債権
利息:元本債権の所得としてその額と存続期間とに比例して支払われる金銭その他の代替物
民法上の利息の性質:元本債権の存在を前提とする。元本からの収入である。金銭その他の代替物である。利率に従って計算されることを要する
基本権たる利息債権:元本に対して一定期に一定率の利息を生じることを目的とする基本的な債権
支分権たる利息債権:基本権たる利息債権の効果として、一定期において具体的に一定額を支払うべき支分権たる債権
重利(複利):利息の利息。弁済期の到来した利息を元本に組み入れてこれを元本の一部として利息をつけること
法定重利の要件(405条):重利契約がない場合に約定利息が一年分以上延滞し、債権者がその延滞利息の支払いを催告したにもかかわらず債務者が利息を支払わないこと
選択債権(406〜411条):選択によって定まる一個の給付を目的とする債権。限定種類債権との区別は、個性の有無
選択債権の選択権者:特約なき限り、選択権は債務者に帰属。弁済期において相手方より相当の期間を定めて催告をしたが選択しないときは、選択権は相手方に移る。第三者が選択権を行使しえぬとき、または欲しないときは、選択権は債務者に移る
選択債権の行使方法:当事者が選択権者の場合は、相手方に対する意思表示により、第三者が選択権者の場合は債権者、または債務者に対する意思表示による
自然債務:債務者が任意に給付しない場合には債権者がこれを訴求しえない債務
給付保持力:債権の最小限の効力であり、給付内容を保持することを法律によって保障されること
債権に基づく妨害排除請求:不可侵性説。排他性説。支配権説。否定説。相関関係説。要保護説
受領遅滞(413条):債務者が債務の本旨に従った履行の提供を行っても、債権者が必要な協力行為をしないため、または、できないため債務者の履行が完了せず弁済が遅延した状態になること。法的性質は、法定責任説、債務不履行説
受領遅滞の要件:債務の本旨に従った履行の提供があること。債権者が債務者の履行の提供に対し、受領を拒絶し、または受領不能となること。債務の履行について債権者の協力が必要であること
受領遅滞の効果(法定責任説):債務不履行を理由とする損害賠償、遅延利息、違約金の請求を受けず、担保を実行されない。約定利息の発生を止める。供託できる。同時履行の抗弁権が喪失。注意義務の軽減。危険が債権者に移転。増加費用は債権者が負担
受領遅滞の効果(債務不履行説):注意義務の軽減。危険が債権者に移転。増加費用は債権者が負担。債権者に損害賠償責任。債務者の契約解除権
現実的履行の強制(強制履行、強制執行、414条):国家機関によって債権を強制的に実現する手続。種類は、直接強制、代替執行、間接強制
直接強制:国家権力をもって債務者の意思にかかわらず、債権の内容を実現すること
代替執行:債権者に自ら給付を実現する権限を与えてなさしめ、それに要する費用を債務者から取り立てること
間接強制:損害賠償の支払いを命じ、債務者に心理的圧迫を加えて給付を実現すること
与える債務:物の引渡し債務。与える債務について直接強制が認められる
なす債務:物の引渡し以外の作為または不作為債務
遅滞時期(412条):確定期限債務は、期限到来時。不確定期限債務は、期限の到来を債務者が知った時。期限の定めなき債務は、履行の請求を受けた時
債務不履行:債務者が正当な事由がないのに債務の本旨に従った給付をしないこと。種類は、履行遅滞、履行不能、不完全履行
債務不履行責任と不法行為責任の相違点:過失の立証責任。過失相殺。相殺禁止規定の有無。付遅滞の時期。消滅時効
履行遅滞:履行が可能であるにもかかわらず期限を徒過して履行しないこと
履行遅滞の要件:履行が可能であること。履行期を徒過したこと。債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと。履行のないことが違法なこと
履行遅滞の効果:履行が遅延したために生じた損害の賠償を請求しうる。相当の期間を定めて催告し、それでも履行がなければ解除しうる
履行補助者:債務者が債務の履行のために使用する者。狭義の履行補助者(債務者の手足となって使用される者)と履行代行者(債務者に代わって履行を引き受ける者)。被用者的補助者(715条で被用者とされる者)と独立的補助者(指揮命令に従わず独立して事業をする者)
「履行補助者の過失」理論:債務の履行のために使用する者の過失を理由として、債務者が債務不履行責任を負うとする理論
履行不能:債務者の責めに帰すべき事由により、債務の履行が不可能になること
履行不能の要件:債権成立後に履行が不能となったこと。債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと。履行不能が違法であること
不能:取引通念に従えば、債務者が履行を実現することについて、もはや期待可能性がないと判断されること
履行不能の効果:填補賠償を請求しうる。契約の場合は解除できる。一部が不能の場合、全部解除しうるかは残部のみで目的を達しうるか否かによる
不完全履行:債務の履行として履行がなされながら、それが債務の本旨に従ったものでないこと
不完全履行の要件:履行があったこと。給付が不完全なこと。債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと。不完全な履行が違法なものであること
不完全履行の効果:追完可能なときは、改めて完全な給付を請求しうるし損害賠償を請求することもできる。追完不能のときは、給付に代わる損害賠償を請求しうる
積極的債権侵害:不完全履行によって拡大損害を生じた場合
予見可能性の解釈:相当因果関係説は、対象・特別の事情、当事者・債務者、判定時期・債務不履行時。保護範囲説は、対象・損害、当事者・両当事者、判定時期・契約時
「損害」の意味:差額説、損失説、事実説。差額説は、侵害があったために現在ある状態とあるべき状態との差、とくにその金銭評価の上での差を損害とする立場。損失説は、損害を、ある者が法益の侵害のために被った損失と捉える立場。事実説は、債務不履行としての不利益な事実自体を損害とする立場
損害賠償額の予定(420条、421条):あらかじめ損害が発生すべき場合を予想して、契約によって賠償額を定めること
損害賠償額の予定の効果:債権者は、債務不履行の事実さえ証明すれば、損害の発生、損害額の証明を要しないで予定賠償額を請求しうる。債務者において実際の損害が少ないこと、皆無であることを証明しても、減額請求または責任を免れることはできない。債権者において、実際の損害が大であることを証明しても増額請求はできない
損害賠償者の代位(422条):債権者が、損害賠償としてその債権の目的たる物または権利の価格の全部を受けたるときに、債務者がその物または権利につき当然債権者に代位すること。要件は、債権の目的たる物または権利の価格全部について賠償。効果は、物または権利が法律上当然に債務者に移転
債権者代位権(423条):債権者が自己の債権を保全するために、その債務者に属する権利を行使しうる制度。要件は、債権の保全の必要があること、債務者が自らその権利を行使しないこと、債権が原則として履行期にあること
債権者代位権の客体となりうる権利:財産権。身分的財産権。実体法上の権利を主張する形式としての訴訟法上の行為
債権者代位権の客体となりえない権利:行使上の一身専属権。差押を許さない権利。訴訟開始後における個々の訴訟追行権
一身専属権:純粋身分権。身分的財産権。慰謝料請求権。債務者の自由意思にかかる権利・意思表示
債権を保全するため:債務者の総財産の減少を防止することによって、総債権者の共同担保を維持すること
債権者取消権(詐害行為取消権、424条):債務者がその一般財産を積極的に減少する行為をする場合に、この行為の効力を奪ってその減少を防止する制度。法的性質は、形成権説、請求権説、折衷説、責任説。成立要件は、詐害行為、詐害意思
形成権説:詐害行為の効力を否認することをもって債権者取消権の本質とする説
請求権説:詐害行為によって債務者の一般財産から逸失した財産を取戻すことをもって債権者取消権の本質とする説
折衷説:詐害行為の効力を否認し、かつ財産を取戻すことの両者をもって債権者取消権の本質とする説
責任説:債権者取消権をもって責任的無効という効果を伴う形成権の一種とみる説
詐害行為取消権の消滅時効(426条):取消原因を知ったときから二年間、行為の時から二十年間
取消の原因を知る:債務者の一般財産を減少して債権者を害するような行為がなされたということを知ること
多数当事者の債権関係:一個の債権関係について、数人の債権者があるもの、または数人の債務者があるもの
分割債権の原則(427条):多数当事者の債権関係の場合、債権が各債権者間に平等の割合、すなわち頭割りで分割され、債務が各債務者間に平等の割合、すなわち頭割りで分割される原則
分割債権の効果:各債権者は自己の債権だけを単独で行使でき、各債務者は自己の債務だけを弁済すればよい。一人の債権者、債務者について生じた事由は、他の債権者、債務者になんらの影響を及ぼさない
不可分債権、不可分債務:分割して実現することのできない給付を目的とする多数当事者の債権債務。種類は、性質上不可分なる場合(債権の目的である給付が分割不可能である場合)と当事者の意思表示によりて不可分なる場合(当事者の合意に因り分割しないことを定めた場合)
不可分債権の効果:各債権者は単独で自己に履行の請求ができるし、債務者も任意に債権者の一人に履行することができる。請求及び弁済は絶対効を生じるが、それ以外は相対効である
不可分債務における絶対的効力:弁済。代物弁済。相殺。供託。受領遅滞
不可分債務における内部関係:不可分債務を履行したものは、他の各債務者に対して、内部関係の割合に応じて、求償することができる
連帯債務:数人の債務者が同一内容の給付について各自が独立に全部の給付をなすべき債務を負担し、しかもそのうちの一人の給付があれば他の債務者も債務を免れる多数当事者の債務
負担部分:数人が同一の給付義務を負う場合において、その数人の間で内部的に各自が分担することになっている債務の割合
不真正連帯債務:二人以上の債務者が同じ目的をもった同一内容の給付を負う場合のうち、債務者間に主観的共同関係のない場合
不真正連帯債務の性質:債務者間に共同目的による主観的な関連がない。債務者の一人について生じた事由が他に影響を及ぼさない。債務者の内部関係において負担部分がなく求償関係を生じない
連帯債務における絶対的効力を生じる場合(434〜439条):性質上、弁済・代物弁済・相殺・供託・受領遅滞。条文上、履行の請求・更改・相殺・免除・混同・時効
求償権の成立要件:連帯債務者の一人が共同の免責を受けた後であること。その者の出捐によること
連帯債務者の求償しうる範囲(442条):共同の免責をえた出捐額。免責のあった日以後の法定利息。避けることができなかった費用。その他の損害の賠償
求償する者が事前の通知を怠った場合(443条1項):他の債務者が債権者に対抗することを得べき事由を有していたときは、その負担部分についてその事由をもって求償者に対抗しうることになる
求償する者が事後の通知を怠った場合(443条2項):連帯債務者の一人が弁済した後、通知しない間に、他の者がこれを知らずに重ねて弁済したときは、その者は自分の弁済を有効なものとみなすことができる
連帯の免除(445条):債権者と債務者との関係において、債務額を負担部分に該当する額に限りそれ以上は請求しえないとすること。種類は、絶対的免除、相対的免除
絶対的免除:総債務者について連帯の免除をすることであり、これによって債務は分割債務となり、求償関係も消滅
相対的免除:一人または数人の債務者についてだけ連帯の免除をすることであり、免除を受けた債務者だけが分割債務を負担し、他の者は依然として全額について連帯債務負担するものであり、求償関係も存続
保証債務:債務者が債務を履行しない場合にこれに代わって履行をするために、債務者以外の者が負担する債務。法的性質は、附従性、随伴性、補充性
附従性(448条):主たる債務がなければ保証債務は成立できず、主たる債務が消滅すれば保証債務もまた消滅すること。主たる債務の担保を唯一の目的とすることから生ずる性質
随伴性:主債務に対応する債権が他に移転した場合には、保証債務もこれに随伴すること
債務者が保証人を立てる義務がある場合の条件(450条):保証人が能力者であること。弁済の資力を有すること
補充性:保証人は、主たる債務者がその債務を履行しない場合にはじめてその債務を履行すればよいという性質
催告の抗弁権(452条):債権者からの債務履行の請求に対して、まず自分より前に主たる債務者に催告をなすべきことを請求しうる保証人の権利
検索の抗弁権(453条):債権者からの債務履行の請求に対して、まず主たる債務者の財産について執行するよう抗弁しうる保証人の権利。行使の要件は、主たる債務者に弁済の資力があること、主たる債務者の財産が執行の容易なものであること
検索の抗弁権の効果(455条):債権者はまず主たる債務者の財産について執行しなければ保証人に対して請求することができないことになり、その執行を怠ったときは、怠ったために主たる債務者から弁済を受けえないことになった部分について保証人は責任を免れる
共同保証:同一の主たる債務について数人が保証債務を負担するもの
共同保証人の分別の利益(456条):共同保証人は主債務の額を平等の割合で分割した額についてのみ保証債務を負担すればよいこと。例外は、主たる債務が不可分であるとき、保証連帯、連帯保証
保証連帯:共同保証のうち保証人相互間に全額弁済の特約がある場合のこと
連帯保証:保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担するもの。補充性・分別の利益がないのが主な特徴
継続的保証:保証人が継続的に基本的保証責任を負っていて、一定の具体的事由を生じるごとに支分的な保証債務が発生するもの。継続的契約関係に関して結ばれる保証契約。種類は、継続的取引の保証、借地借家契約の保証、身元保証。身元保証は、狭義の身元保証と身元引受
狭義の身元保証:被用者が雇傭契約上負担するかもしれない損害賠償債務の保証
身元引受:被用者が病気になった場合などにその身柄を引き受ける等の責任を負う損害担保契約
損害担保契約:一定の法律関係から生じることあるべき損害を担保することを目的とする契約
根保証:継続的取引契約に基づき一定の時期における決算によって確定する主債務のための継続的保証
継続的保証の相続性(判例):責任の限度額、期間を定めない継続的連帯保証契約は、特段の事由なき限り、相続性なし。賃借人のための保証は、相続性あり。身元保証契約に基づく身元保証人の義務は、特段の事由なき限り、相続性なし
受託保証人の求償権の範囲:出捐した額。免責行為のあった日以後の法定利息。避けることをえなかった費用。その他の損害の賠償
受託保証人が予め求償しうる場合(459条、460条):保証人が過失なくして債権者に弁済すべき裁判の言い渡しを受けたとき。主たる債務者が破産の宣告を受け、かつ債権者がその財団の配当に加入しないとき。債務が弁済期にあるとき。債務の弁済期が不確定であって、かつその最長期をも確定することができない場合において保証契約の後十年を経過したとき
委託を受けない保証人の求償権の範囲(462条):保証人となったことが主たる債務者の意思に反しないときは、保証人が免責行為をした当時主たる債務者が利益を受けた限度であり、保証人となったことが主たる債務者の意思に反するときは、求償するときに主たる債務者が現に利益を受けている限度である
債権の譲渡:債権をその内容を変じないで移転する旧債権者と新債権者間の契約。債務者に対する対抗要件は、債務者に対する通知または債務者の承諾。債務者以外の第三者に対する対抗要件は、通知または承諾を確定日付けある証書によってなすこと
譲渡することのできない債権の種類:債権の性質が譲渡を許さないもの。当事者が譲渡禁止の意思表示をしたもの。法律上譲渡を禁止されるもの
異議を留めない承諾(468条1項):債務者が承諾をなすに際して、その債権者に対して有する抗弁権を保留しない場合。法的性質は、債務承認説、公信説。効力は、債務者が、単なる通知の場合に譲渡人に対抗しえた一切の事由をもって、譲受人に対抗しえなくなる
契約上の地位の移転:契約の当事者たる地位の承継を目的とする契約
債務引受:債務を、その内容を変じないで移転する契約。種類は、履行の引受、併存的債務引受、免責的債務引受
履行の引受:債務者に対してその者の負担する特定の債務を弁済する義務を負う契約。要件は、債務者・引受人の契約
併存的債務引受:第三者が債務関係に加入して債務者となるが、従来の債務者も債務を免れず両者が並立して同一内容の債務を負担するもの。要件は、債権者・債務者・引受人の3者の契約、債権者・引受人の契約
免責的債務引受:第三者が債務関係に加入して債務者となり、従来の債務者は債務を免れる場合。要件は、債権者・債務者・引受人の3者の契約、債権者・引受人の契約、債務者・引受人の契約+債権者の承諾
債権の消滅原因:免除。供託。相殺。代物弁済。更改。弁済。混同
弁済(474〜504条):債務の内容たる給付を実現させる債務者その他の者の行為
第三者の弁済(474条):第三者が他人の債務として弁済すること。許されない場合は、債務の性質が許さないとき、当事者が反対の意思を表示したとき、利害関係のない第三者については債務者の意思に反するとき
債権の準占有者:取引観念上、真実の権利者であると信じさせるような外観を有する者
代物弁済(482条):本来の給付に代えて他の給付をなすことによって債権を消滅させる、債権者と弁済者との契約
代物弁済の要件:債務の存在すること。本来の給付と異なる給付をすること。弁済に代えてなされること。当事者間の契約(債権者の承諾)があること
特定物ドグマ:特定物の売主は完全な物を給付する義務はなく、特定の不完全な物を給付すればよいとする理論
弁済の充当(488〜491条):債務者が同一の債権者に対して同種の目的を有する数個の債務を負担する場合、または1個の債務の弁済として数個の給付をなすべき場合において、弁済者の提供した給付がその債務の全部を消滅させるに不足なときに、その給付をいずれの債務の弁済に充てるべきかを決定すること。基準は、当事者の合意、当事者の一方の指定、法律の規定
法定弁済充当(489〜491条):総債務中、弁済期にあるものと弁済期にないものがあるときは、弁済期にあるものに充当され、総債務が弁済期にあるときまたは弁済期にあらざるときは、債務者のために弁済の利益多きものに充当され、債務者のために弁済の利益同じときは弁済期の先ず至りたるものまたは先ず至るべきものに充当され、弁済期も同じ場合には各債務の額に応じて充当される。順序は、費用、利息、元本
弁済の提供:債務者が、単独で完了することのできない給付について、その給付の実現に必要な準備をして債権者の協力を求めること
弁済提供の方法(493条):原則として現実の提供を要するが、債権者が予め受領を拒んだとき、または債務の履行について債権者の行為を要するときは、例外的に口頭の提供で足りる
現実の提供(493条本文):弁済のため債権者の協力を要する場合に、債務者が、債権者に対して、受領その他の協力さえすれば弁済が完了する程度の状態を作り出すこと
口頭の提供(言語上の提供、493条但書):債権者が予め受領を拒むか、債務の履行につき債権者の行為を要する場合に、債務者が、債権者に弁済の準備をしたことを通知してその受領を促すこと。弁済の準備は、債権者が翻意して受領しようとすれば債務者の方でこれに応じて給付を完了しうる程度で足りる
弁済による代位(499〜504条):弁済が第三者または共同債務者によってなされた場合に、債務者について消滅した債権者の権利が、弁済者が債務者に対して有する求償権の範囲内で弁済者に移転すること。任意代位(499条)と法定代位(500条)
弁済による代位の要件:弁済その他で債権者に満足を与えること。第三者または共同債務者の1人が弁済をなし、債務者に対して求償権を有すること。弁済をなすにつき正当な利益を有するか、債権者の承諾を得ること
法定代位(500条):弁済をなすにつき正当の利益を有する者が、弁済によりて当然債権者に代位すること
当然債権者に代位する(500条):債権者の承諾なくとも弁済によって当然代位し、また対抗要件を必要としないこと
501条1号・2号の内容:保証人は第三取得者に対しては、金額について債権者に代位できるが、第三取得者は保証人に対しては代位できない
予め代位の付記登記をする(501条1号):保証人が弁済した後、第三取得者の取得前に付記登記をすること
501条3号の内容:第三取得者間では、各不動産の価格に応じて他の第三取得者に対して代位できる
501条5号の内容:保証人と物上保証人との間は、その人数に応じて債権者に代位する。但し、数人の物上保証人があるときは、まず保証人の負担部分を除き、その残額について各担保物の価格に応じて代位の範囲が決まる
供託(494〜498条):弁済者が弁済の目的物を債権者のために供託所に寄託して債務を免れる制度。効果は、債務が消滅し債権者は供託所または供託物保管者に対して保託物の交付を請求する権利を取得
供託原因(494条):債権者側の受領拒絶または受領不能。弁済者の過失なくして誰が債権者であるかを確知しえないこと
供託物の取戻(供託契約の取消)の効果:債権は消滅しなかったことになり、保証債務などは復活。供託後の利息なども支払わなければならない。特定後の供託においては、供託によって移転した所有権は当然復帰
供託物を取り戻すことができなくなる場合(496条):債権者が受諾したとき。供託を有効と宣告した判決が確定したとき。供託によって質権または抵当権が消滅したとき。供託者が取戻権を放棄したとき
相殺(505〜512条):債務者がその債権者に対して同種の債権を有する場合に、その債権と債務とを対等額において消滅させる意思表示。趣旨は、簡易な決済方法、当事者間の公平、担保的機能
相殺の要件:債権の対立があること。対立する両債権が同種の目的を有すること。両債権(主に自働債権)が弁済期にあること。債権の性質が相殺を許さないものでないこと
性質上相殺できない場合:為す債務。不作為債務。自働債権に抗弁権が付着している場合。自働債権が保証債権である場合
法律上相殺が禁止される場合:受働債権が不法行為によって生じたとき。受働債権が差押禁止債権のとき。受働債権が支払の差止を受けたとき。受働債権が株金払込債権のとき
不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止(509条)の趣旨:自力救済的な不法行為の誘発防止。現実弁済による被害者の救済
更改(513〜518条):新債務を成立させることによって旧債務を消滅させる契約。成立要件は、債権の存在すること、新債務の成立すること、新債務は旧債務と要素を異にすること。効果は、旧債務が消滅し、これと同一性のない新債務が成立
民法で更改が生ずる場合:債権者の交替。債務者の交替。債務の目的・態様の変更
免除(519条):債権を無償で消滅させる債権者の行為。性質は、単独行為
債権各論データ(2008年更新分)
使用者に代わって事業を監督する者:客観的に観察して実際上現実に使用者に代わって事業を監督する地位にある者。
被用者と第三者の共同不法行為で第三者が負担部分を超えて賠償をなしたときは第三者は使用者に求償できる。
648条3項:委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
650条2項の要旨:受任者は委任事務処理必要債務を負担したときは委任者に弁済請求可。債務が弁済期にないときは相当担保を供させること可。
551条1項:贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
551条2項:負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
596条の要旨:贈与者の担保責任規定は、使用貸借に準用。
590条1項:利息付きの消費貸借において、物に隠れた瑕疵があったときは、貸主は、瑕疵がない物をもってこれに代えなければならない。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
590条2項(担保責任)の要旨:無利息消費貸借の借主は、瑕疵がある物の価額返還可。貸主悪意のときは利息付消費貸借の瑕疵規定準用。
599条:使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。
体系順データ
契約:相対立する複数の意思表示の合致によって成立する法律行為。成立要件は、客観的合致、主観的合致。一般的効力発生要件は、可能性、確定性、社会的妥当性・適法性
契約自由の原則:私法上の契約関係は、個人の自由な意思によって決定され、国家の干渉を受けないという原則。内容は、契約締結の自由、契約内容決定の自由、契約の方式の自由、相手方選択の自由
契約の種類:典型契約(有名契約)は、民法の定める十三種類の契約。非典型契約(無名契約)は、民法の定める十三種類の契約以外の契約。混合契約は、2つ以上の典型契約の要素が混合したり、ある典型契約の要素と他の非典型契約の要素が混合した契約
双務契約:契約の各当事者が互いに対価的な意義を有する債務を負担する契約
片務契約:一方の当事者のみが債務を負うか、または双方の当事者が債務を負担するがそれが互いに対価としての意義を有しない契約
有償契約:契約当事者が互いに対価的意義を有する出捐(経済的損失)をする契約
諾成契約:当事者の意思表示の合致のみで成立する契約
要物契約:当事者の合意のほかに、一方の当事者が物の引渡しその他の給付をなすことを成立要件とする契約。代物弁済・消費貸借・使用貸借・寄託
要式契約:契約の成立に一定の方式を要するもの
予約:当事者の一方または双方のうちのいずれかが、将来希望したときに一定の内容の契約を締結する拘束を設定する契約
本契約:予約に基づいて締結される契約
予約の種類:双務予約、片務予約。有償契約に限って、双方の予約、一方の予約
双務予約(双方予約):一方が本契約をしようとする申込をすれば、他方がこれを承諾する義務を、双方が負っている予約
片務予約(一方予約):一方が本契約をしようとする申込をすれば、他方がこれを承諾する義務を、一方だけが負っている予約
双方の予約:一方が本契約を成立させようとする意思表示をすれば、他方の承諾を要せずに本契約を成立させる権利を双方が有する予約
一方の予約:一方が本契約を成立させようとする意思表示をすれば、他方の承諾を要せずに本契約を成立させる権利を一方だけが有する予約
契約締結上の過失:過失によって無効な契約を締結した者は、相手方がその契約を有効なものと誤信したことによって被る損害を賠償する責任があるという理論。意義は、債務不履行説、不法行為説
契約締結上の過失の要件:締結された契約の内容の全部または一部が客観的に不能(原始的不能)であるために、その契約の全部または一部が無効であること。給付をなすべき者が、その不能なことを知り、または知りうるべきものであること。相手方が不能につき善意・無過失であること
信頼利益:相手方がその契約を有効と信じたことによって生じた損害
履行利益:契約が有効でありそれが完全に履行されていたら債権者が受けた利益
契約存続中における信義則:信義則を契約解釈の基準とする。債務の履行は信義則に従うべきである。権利の行使は信義則に従うべきである
契約終了時における信義則:継続的契約関係を不当に終了させないようにすべきである。契約存続中に生じたことについて善後措置をとるべき義務を負う
普通取引約款(附合契約):多数の取引相手と反復して、しかも大量に取引がなされることを予定して、あらかじめ契約締結の便宜のために、契約の一方当事者が定型的に作成した 契約条項。判例は、当事者が反対の意思を表示しないで契約をしたときは、反証のない限り、その約款による意思をもって契約したものと推定
契約の成立要件:客観的合致と主観的合致。通常、申込と承諾の合致
客観的合致:数個の意思表示がその客観的内容において一致すること
主観的合致:数個の意思表示が相手方の特定の意思表示と結合して契約を成立させようとする意義を有すること
申込:契約を成立させることを目的とする確定的な意思表示
承諾:申込の意思表示と合致して契約を成立させる意思表示
申込の誘引:相手方に申込をさせようとする意思の通知
申込と申込の誘引の区別基準:相手方が特定人か不特定人か、不特定人であっても個性を重視するか否か。その行為が契約の内容を指示しているか否か。当事者間の従来の取引関係。その地方の慣習
交叉申込:契約の当事者が偶然に互いに申込みをなし、その申込の内容が一致している場合
526条2項:申込者の意思表示又は取引上の慣習に依り承諾の通知を必要とせざる場合に於いては契約は承諾の意思表示と認むべき事実ありたる時に成立す
意思実現:意思表示のように直接に一定の効果意思を外部に表示する行為ではないが、なおそれにより一定の効果意思の存在を推断せしめるような行為
承諾の意思表示と認められる「事実」:契約によって取得する権利の実行行為。契約によって負担する債務の履行準備行為
526条1項:隔地者間の契約は承諾の通知を発したる時に成立す
懸賞広告(529条):一定の行為(指定行為)をした人に対して一定の報酬を与える旨を広告によって表示する行為
優等懸賞広告(532条):一定の行為(指定行為)をした者のうち、優等者のみに報酬を与える旨を広告によって表示する行為
双務契約の特殊の効力:成立上の牽連関係。履行上の牽連関係。存続上の牽連関係
成立上の牽連関係:双務契約においてその一方の債務が成立しないときは他方の債務もまた成立しない
履行上の牽連関係:双務契約において一方の債務が履行されぬうちは他方も履行しなくてよい
存続上の牽連関係:双務契約において一方の債務者の責に帰すべからざる事由によって履行不能となるときは、他の債務も消滅
同時履行の抗弁権(533条):一方の債務が履行されるまでは、他方の債務の履行を拒むことができるという抗弁権。要件は、同一の双務契約から生じる両債権の存在すること、相手方の債務が履行期にあること、相手方が自己の債務の履行またはその提供をしないで履行を請求すること
危険負担(534〜536条):双務契約において、契約成立後、各債務が完全に履行される前に一方の債務が、債務者の責めに帰すべからざる事由によって履行不能となり消滅してしまった場合、他方の債務も当然消滅するかどうかを問題にすること
債務者主義(536条):不能となった債務を中心として、その損失を債務者が負担するものとする原則。効果は、履行不能によって債務の全部または一部を免れた債務者は、反対給付を受ける権利を失うこと
債権者主義(534条):不能となった債務を中心として、その損失を債権者が負担するものとする原則。根拠は、「利益の存するところ損失も帰する」という原則、「所有権が危険を負担する」という原則
債権者主義の要件(534条):特定物に関する物権の設定または移転を目的とする双務契約において、債務者の責めに帰すべからざる事由によって目的物が滅失または毀損した場合
債権者主義制限説(支配説):登記目的物の引渡、代金の支払といった支配の移転が認められる場合にはじめて534条の適用を認めるべきとする説
第三者のためにする契約(537条):契約当事者の一方(諾約者)が第三者(受益者)に直接に債務を負担することを相手方(要約者)に約する契約。成立要件は、要約者・諾約者間で有効な契約が成立していること、要約者・諾約者間の契約が直接第三者に権利を取得させる趣旨を含んでいること
契約の解除(540〜548条):契約が締結された後に、その一方の当事者の意思表示によって契約を解消し、まだ履行されていない債務は履行する必要がないものとし、既に履行されたものがあるときは、互いに返還することにして、法律関係を清算すること。法的性質は、直接効果説、間接効果説、折衷説
直接効果説:契約が解除されると解除の直接の効果として、契約上の債権、債務は初めに遡って消滅するとする説
間接効果説:契約が解除されても、解除の直接の効果として契約上の債権、債務が消滅するのではなく、ただ、当事者間に原状回復の債権、債務関係を発生させるにとどまり、それが履行されることによって、初めて契約関係は消滅するとする説
折衷説:未履行の債務については解除の時に消滅し、既履行の債務は消滅せず、新たに返還債務を生ずるとする説
履行遅滞による解除権発生の要件(541条):履行遅滞があること。債権者が相当の期間を定めて催告すること。債務者が催告期間内に履行しないこと
定期行為(542条):契約の性質または当事者の意思表示によって、一定の日時または一定の期間内に履行しなければ契約をした目的を達することのできないもの。絶対的定期行為(契約の性質による定期行為)と相対的定期行為(当事者の意思表示による定期行為)。定期行為の不履行の効果は、ただちに解除権が発生
解除権不可分の原則(544条1項):契約の当事者の一方が数人ある場合に、その数人ある当事者の側で解除するときに、または、この数人ある当事者に対して相手方が解除する場合には、それぞれ全員から、または、全員に対して解除しなければならないとする原則。趣旨は、法律関係の簡易化、当事者の意思。例外・共有賃貸物の解除は管理行為
解除の損害賠償額の算定時期:原則として解除時の価格を標準とする。解除をした買主がこれを他に転売する契約をしている場合には、原則として転売価格による。契約解除後の努力にも拘らず、売主が一層下落した価格で目的物を他に売却し、または買主が一層騰貴した価格で他から購入せざるを得なかったような場合には、原則としてその実際の価格を標準とする
履行期以後解除までの価格変動:履行期以後解除までの間に、目的物の価格が一度騰貴してさらに下落した場合や、反対に一度下落してさらに騰貴した場合にも、原則として解除の時を標準とし、その騰貴または下落している間に処分したであろうことを推測しうべき事情がある場合には、その時の価格を標準とする
解除権の消滅の種類:相手方の催告による消滅。解除権者による目的物の毀損等による消滅。解除権行使前の債務の履行。解除権の放棄。解除権の失効。解除権の時効消滅
相手方の催告による消滅(547条):解除権の行使につき期間の定めがないとき、相手方が解除権を有する者に対し相当の期間を定めその期間内に解除をするのかしないのか催告した際、その期間内に解除の通知を受けざるときに解除権が消滅すること
解除権者による目的物の毀損等による消滅(548条):解除権を有する者が自己の行為または過失により著しく契約の目的物を毀損し、もしくはこれを返還することをできなくしたとき、または加工もしくは改造によってこれを他の種類の物に変じたときに解除権が消滅すること
告知(解約告知):契約によって生じた継続的な法律関係を、当事者の一方的な意思表示によって終了させること
解除契約(合意解除、合意解約):契約当事者が、合意によって契約を解消して契約がなかったのと同一の状態をつくることを内容とする新たな契約
解除条件付契約:当事者に債務不履行があれば契約は当然に効力を失うという特約(失権約款)がついている契約
贈与(549〜554条):贈与者から受贈者に対して無償で財産的出捐をすることを目的とする諾成契約
現実贈与:贈与契約と同時に目的物の交付がなされる場合
定期贈与:定期金すなわち毎年または毎月一定の金銭または物を給付する債務を贈与の目的とした場合
負担付き贈与:受贈者に一定の負担を負わす贈与契約
死因贈与:贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与
売買(555〜585条):当事者の一方がある財産権を相手方に与えることを約し、相手方がこれに代金を払うことを約することによって成立する契約
現実売買:売買契約と同時に財産権と代金とが交換される売買
割賦払約款附売買:売買代金を一定期ごとに分割して支払う特約のついた売買
見本売買:見本によって目的物を定めた売買
試味売買:目的物を試験して、買主が気に入ったら買うという売買
継続的供給契約:売主が期間を定め、または定めずに、一定種類のものを継続的に供給する売買
手附(557条):契約締結の際に当事者の一方から相手方に交付される金銭その他の有価物。種類は、証約手附、解約手附、違約手附、損害賠償の予定を兼ねた手附
証約手附:契約が成立したことを示す効力をもつ手附
解約手附:両当事者が解除権を保留し、かつ、それを行使した場合の損害賠償額となる手附
違約手附:契約上の債務を履行しない場合に違約金として没収される手附
損害賠償の予定を兼ねた手附:当事者の一方が債務を履行しない場合に、損害賠償として、手附を交付した者はそれを没収され、手附を収受した者はその倍額を償還する旨を定めた手附
557条1項の内容:手附は、原則として解約手附と推定。手附が交付された場合に解約できる時期は、契約の履行に着手するまで
履行の着手:債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち客観的に外部から認識しうるような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするためにかくことのできない前提行為をした場合
解約手附による解除の効果:買主の解除は手附の放棄、売主の解除は手附倍戻し。解除は遡及的効力をもつ。損害賠償請求権は発生しない
売主の担保責任(561〜572条):売主が給付した目的物や権利に瑕疵がある場合に、売主が買主に対して負う責任。効果は、契約解除、損害賠償請求、代金減額請求
全部他人物売買(561条):要件は、他人の権利の売買、買主に移転することが不可能。責任は、買主は催告せずに解除できる、善意の買主は損害賠償請求、行使期間なし
一部他人物売買(563条、564条):代金減額請求。善意の買主は、契約解除[K1] ・損害賠償請求。行使期間は、事実を知ったときOR契約のときから、1年
数量指示売買(565条):特定物の売買において目的物が一定の数量を有することを売主が表示し、代金もこの数量を基準として定めた場合。内容は、不足・一部滅失+買主善意で一部他人物売買を準用
制限物権がある場合の責任(566条):要件は、地上権、永小作権、留置権、質権、登記した賃借権存在or存在するとされた地益権不存在。責任は、善意の買主は、損害賠償請求+契約目的達成できない場合契約解除。行使期間は、知ったときから1年
担保物権がある場合の責任(567条):要件は、先取特権・抵当権により所有権喪失or出捐して所有権保存。所有権喪失は契約解除・損害賠償請求。出捐して所有権保存は出捐の償還請求、損害賠償請求
瑕疵担保責任(570条、566条):売買の目的物に隠れたる瑕疵がある場合の売主の担保責任。法的性質は、法定責任説、債務不履行責任説。要件は、目的物に瑕疵、隠れたる瑕疵。効果は、契約解除、損害賠償
法定責任説:売主の瑕疵担保責任の法的性質を特定物売買にのみ適用される法定の無過失責任と考え、瑕疵修補請求権を認めない見解
債務不履行責任説:売主の瑕疵担保責任の法的性質を債務不履行責任の売買における特則と考え、売主に完全給付義務及びそれに対応するものとして瑕疵修補請求権を認める見解
隠れたる瑕疵:取引界で要求される普通の注意を用いても発見されない瑕疵
担保責任を負わないという特約をしても、売主が担保責任を負う場合(572条):売主が権利または物の瑕疵、数量不足などの欠陥があったことを知りながら買主に告げなかった場合。売主が自ら目的物を第三者に譲渡したり、その上に他物権を設定した場合
代金支払拒絶権が生じる場合(576条、577条):他人が権利を主張する場合。担保物権が存する場合
広義の買戻:いったん売却したものを再び自分のものにすること。解除権留保売買(一定期間内は売主が解除権をもつという特約をした売買)と再売買の予約(一定期間内に逆方向の第二の売買ができるという予約をした売買)
解除権留保売買(狭義の買戻、579〜585条):一定期間内は売主が解除権をもつという特約をした売買。要件は、目的物が不動産であること、買戻の特約が売買契約と同時になされたこと、買戻の代金が売買の代金と契約の費用を超えないこと、買戻の期間が十年を超えないこと
交換(586条):金銭の所有権以外の財産権の相互移転を目的とする契約で売買の規定を準用
消費貸借(587〜592条):金銭その他の代替物を借りて、これを消費し、同種、同等、同量のものを返還することを目的とする契約。要件は、消費貸借契約の合意と金銭その他の物の引渡し
諾成的消費貸借:諾成契約として成立する消費貸借
準消費貸借(588条):消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する債務を負っている者が、相手方との契約により、消費貸借上の債務にすること
消費貸借の返還時期(591条):返還時期を定めないとき、貸主は相当の期間を定めて返還の催告ができる。借主はいつでも返還できる
592条の内容:消費貸借の借主が同種、同等、同量の代替物を返還することができない場合は、その不能となった時の価格を償還
使用貸借(593〜600条):当事者の一方が、ある物を無償で使用収益したのち、その物の返還を約する合意と、相手方からその物の引渡しを受けることによって成立する契約
使用貸借の返還時期(597条):存続期間の定めがあるときは、期間満了前。使用目的だけを定めた場合は、目的に従った使用収益が終わったとき。返還の時期および使用目的を定めなかったときは、いつでも返還請求可
598条の内容:使用貸借の借主は、目的物を原状に復して返還。その際、目的物に付属させた物を収去
賃貸借(601〜622条):賃貸人が賃借人にある物を使用収益させ、これに対して賃借人が使用収益の対価を支払う契約
短期賃貸借:抵当権設定後、設定登記された賃貸借。処分の能力または権限のない者ができる賃貸借。期間の定めない賃貸借は、建物・該当、土地・非該当
処分の能力または権限のない者:管理する能力または権限があるが、処分する能力または権限のない者。処分の能力のない者の例は、被保佐人。処分の権限のない者の例は、不在者の財産管理人、権限の定めのない代理人、後見監督人のある場合の後見人、相続財産管理人
短期賃貸借の存続期間(602条):樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借は、10年。その他の土地の賃貸借は、5年。建物の賃貸借は、3年。動産の賃貸借は、6ヵ月
借地権の存続期間(借地借家法3条):30年。但し、これより長い期間を定めることはできる。契約で存続期間を 定めなかったときも30年
借地借家法4条の借地権更新後の期間:最初に行う更新のときだけ更新期間は20年。二度目の更新のときから更新期間は10年。但し、当事者がこれより長い更新期間を定めることはできる
借地借家法22条の内容:存続期間を50年とする定期借地権を設定できる。この場合は、契約の更新、築造による存続期間の延長がなくなり、また建物買い取りの請求をしないという取り決めをすることができる
賃貸人の権利・義務:賃料支払請求権、目的物返還請求権、使用収益させる義務、費用償還義務、担保責任。使用収益させる義務は、目的物引渡義務、修繕義務、妨害除去義務
608条の内容:賃借人が費用を支出した場合の賃貸人の償還時期は、必要費の場合には賃借人は賃貸借の終了を待たずに直ちに償還を請求することができる。有益費の 場合には、賃貸借契約が終了した時に請求しうる
必要費:目的物の通常の用法に適する状態において保存するために支出された費用
有益費:目的物の客観的価値を増やすもの
賃借人の権利・義務:使用収益権。費用償還請求権。賃料支払義務。目的物保管・返還義務
611条:賃借物の一部が賃借人の過失に因らずして滅失したるときは賃借人は其滅失したる部分の割合に応じて借賃の減額を請求することを得。前項の場合に於て残存する部分のみにては賃借人が賃借を為したる目的を達すること能はざ るときは賃借人は契約の解除を為すことを得
賃借権の譲渡:賃借権が従来の賃借人から離れて譲受人に帰属すること
転貸:賃借人が自己の有する権利の範囲内において、第三者をしてその物の使用収益をなさしむることを約する契約。賃借権はなお従来の賃借人に帰属し、転 借人の賃借権はそれを基礎として成立している場合
612条:賃借人は賃貸人の承諾あるに非ざれば其権利を譲渡し又は賃借物を転貸することを得ず。賃借人が前項の規定に反し第三者をして賃借物の使用又は収益を為さしめたるときは賃貸人は契約の解除を為すことを得
借地権の更新事由:当事者の合意による更新。借地人の請求による更新。借地権消滅後の使用継 続による更新。建物再築による更新
黙示の更新(619条):賃貸借期間経過後、賃借人が引き続き賃借物を使用しており、賃貸人もこれに対してなんらの異議を述べないという場合は、前契約と同一の条件で賃貸借を存続させる意思を有しているものと推察して契約を更新させること
借地借家法26条の内容:借家権の更新は、期間満了の前に家主の方から予め更新を拒絶する旨の通知をしないと従前の契約と同一の条件で当然に更新。予め通知した場合でも、借家人が使用を継続しているときには、遅滞なく異議を述べないと更新
建物再築による更新(借地借家法7条):建物滅失後に再築される際、借地権設定者の承諾があった場合は、承諾のあった日か、建物が築造された日のいずれか早い日から20年間借地権は存続
620条:賃貸借を解除したる場合に於ては其解除は将来に向てのみ其効力を生ず但当事者の一方に過失ありたるときは之に対する損害賠償の請求を妨げず
賃借権の終了原因:期間の満了。解約の申入。賃借人からの解除。賃貸人からの解除。債務不履行による解除。賃借人破産による解約の申入。後発的全部不能。混同
立退料の内容:立退きによって賃借人が支払わなければならない移転費用の補償。立退きによって賃借人が事実上失う利益の補償。立退きによって消滅する利用権の補償
敷金:賃料その他の債務を担保するために、契約成立の際、あらかじめ賃貸人に交付する金銭。法的性質は、停止条件付返還債務を伴う金銭所有権の移転。返還請求権の発生時期は、明渡時(判例・通説)と終了時(星野・幾代)。新賃貸人は敷金返還債務を承継(判例・通説)
権利金の種類:居住や営業に便利であるという場所的利益に対する対価。毎月支払われる賃料の一部の一括前払。賃借権の譲渡性(転貸)を承認する対価
保証金の種類:敷金としての性質を有するもの。敷金と権利金の性質を併有するもの。建設協力金に該当するもの。それ以外のもの
借地借家法15条:借地権を設定する場合においては、他の者と共に有することとなるときに限り、借地権設定者が自らその借地権を設定することができる
雇用(623〜631条):一方の当事者が相手方のために労務に服することを約し、他方の当事者がこれに報酬を与えることを約する契約
請負(632〜642条):当事者の一方がある仕事の完成を約し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって成立する契約
請負契約における所有権の帰属(判例):注文者が材料の全部または主要部分を供給した場合は、原始的に注文者に所有権が帰属。請負人が供給した場合には、所有権がいったん請負人に帰属したのち、引渡によって注文者に移転
下級審判決のとる注文者保護の構成:権利濫用・信義則違反による構成。当事者の合理的意思解釈による構成。下請人を履行補助者とみる構成
請負人の担保責任(634〜640条):要件は、仕事の目的物に瑕疵。内容は、注文者の瑕疵修補請求権・損害賠償請求権・契約解除権。責任の存続期間は、原則1年、土地の工作物5年、石造・土造・煉瓦造または金属造の工作物10年
委任(643〜656条):委託を受けて他人のため事務を処理することを目的とする契約
受任者の報告義務(645条):受任者は委任者の請求あるときはいつでも委任事務処理の状況を報告し、また、委任終了の後は遅滞なくその顛末を報告する義務があること
委任の終了原因(653条):当事者の解約。委任者の死亡・破産、受任者の死亡・破産・後見開始の審判
準委任(656条):法律行為以外の事務の委託
寄託(657〜666条):当事者の一方(受寄者)が相手方(寄託者)のために物の保管をなす契約。成立要件は、当事者間に寄託の合意が成立したこと、物を相手方から受け取ること
保管:寄託の目的物を自分の所持内においてその現状を維持すること
消費寄託(666条):受寄者が契約上、受寄物を消費することができる寄託
組合(667〜688条):二人以上の当事者が出資をなして共同の事業を営むことを約することによって成立する契約。法的性質は、双務契約説、特殊契約説、合同行為説
業務執行組合員の解任の要件(672条):他の組合員の全員の一致があること。正当の事由あること
組合員の脱退:一部の組合員が組合の同一性を変えないで組合員たる資格を失うこと
任意脱退の許される場合(678条):組合契約で組合の存続期間を定めなかった場合、あるいは、組合員の終身間組合が存続するものと定めている場合。やむことを得ざる事由がある場合
組合員の意思に基づかない脱退事由(679条):死亡。破産。後見開始の審判。除名
組合の解散:目的たる事業を達成するための活動をやめ、清算手続に入ること
組合の解散事由(682条、683条):目的たる事業の成功。目的たる事業の成功の不能。組合員の解散請求。組合契約で定めた解散事由の発生。存続期間の満了。組合員全員の解散の合意。組合員が一名になった場合
終身定期金(689〜694条):当事者の一方が自己、相手方または第三者の死亡に至るまで、定期に金銭その他の物を相手方または第三者に給付することを約することによって、その効力を生じる契約
和解(695〜696条):当事者が互いに譲歩してその間に存する争いを止めることを内容とする契約。要件は、当事者間に争いが存在すること(紛争性)、当事者双方が互譲すること(互譲性)
和解の確定効(696条):和解により権利創造的効力が生じた後は、後日事実が和解によって確定したところと異なっていたことが判明しても、既に合意された和解の内容を争うことができないこと
事務管理(697〜702条):法律上の義務がないのに、他人のために仕事をすること
事務管理の成立要件:他人の事務を管理すること。法律上の義務がないこと。他人のためにすること。本人のために不利益なことまたは本人の意思に反することが明らかでないこと
事務:人の生活に必要な一切の仕事
準事務管理:他人の事務をそれと知りつつ自己の事務として管理した場合に事務管理は成立しないが、管理者の義務につきこれと同様の効果を認める理論
不当利得(703〜708条):法律上の原因なくして、他人の財産もしくは労務によって受けた利益。本質は、公平説、類型論
不当利得の要件:他人の財産または労務によって利益を受けたこと。そのために他人に損失を与えたこと。受益と損失との間に因果関係があること。法律上の原因がないこと
法律上の原因なくして:公平の理念からみて、財産的価値の移動をその当事者間において正当なものとするだけの実質的な理由がないこと
転用物訴権の理論:契約上の給付が契約の相手方のみならず、第三者の利益にもなった場合、給付した当事者はその第三者に対して利得の返還を請求することができる、という理論
非債弁済(705〜707条):債務がないのに弁済すること
不法原因給付(708条):不法の原因のために給付をした者はその給付した物の返還を請求することができないという法律関係
給付:回復請求者の自由意思に基づいてなされた財産的価値のある出捐
不法行為(709〜724条):不法に他人の権利もしくは利益を侵害し、これによって損害を与えること。違法な行為によって受けた損害を賠償させる制度。目的は、損害の公平な填補。要件は、故意又は過失、損害、因果関係、違法、責任能力
疫学的因果関係論における因果関係推定要件:原因と考えられるものが結果に先行していること。原因と考えられる物質の排出の増減が被害の増減と一致していること。その原因を原因と考えても生物学的に矛盾なく説明できること
監督義務者が責任を負う要件(714条):責任無能力者に、もし責任能力があったならば不法行為責任が生ずるような行為でありながら、行為者に責任能力がないために不法行為責任が生じない場合であること。監督義務者または監督代行者の監督の義務を怠らなかったことの主張、立証がないこと
使用者責任(715条):他人に使用される者がその他人の事業の執行について第三者に損害を加えた場合、使用者とか、使用者に代わって事業を監督する立場にある者に、その損害を賠償する責任を負わせること。要件は、使用関係、事業の執行に付き、被用者の不法行為、免責事由の不立証
使用関係:使用者の事実上の「指揮監督ノ下ニ」事業に従事すること
事業の執行に付き(事業執行性):被用者の行為が客観的に使用者の事業の範囲に属すると認められる場合[K2] 。判断基準は、外形標準説、一体不可分説
土地工作物責任(717条):土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって、他人に損害を生じた場合に、その工作物の占有者・所有者に特殊の責任を課すこと。要件は、土地の工作物、設置または保存に瑕疵、工作物の瑕疵の存在を被害者側で立証。効果は、第一に占有者、占有者が免責事由を証明したとき所有者が損害賠償責任
土地工作物:土地に接着して人工的につくり出された設備
瑕疵:その種の工作物として、通常備えるべき安全な性状を欠いていること
動物占有者の責任の要件(718条):動物によること。動物が加えた損害であること。占有者・保管者が免責事由を立証しないこと
共同不法行為(719条):侵害が複数の人によって行われた不法行為。成立要件は、各人の行為がそれぞれ独立に不法行為の要件を備えていること、各人の行為の間に関連共同性があること。「共同」の解釈は、客観的関連共同説、主観的関連共同説、類型化説
違法性阻却事由:正当防衛。緊急避難。被害者の承諾。正当業務行為。自力救済
正当防衛の要件(720条1項):他人の不法行為によること。自己または第三者の権利を防衛する行為であること。防衛のためやむを得ず加害行為をしたこと
緊急避難の要件(720条2項):他人の「物」より生じた急迫の危難があること。急迫な危難を避けるため「その物」を毀損したこと。その物を毀損する以外に適当な避難手段がなかったこと
損益相殺:損害を受けた者が同時に利益を受けたときに、損害から利益を控除すること。非控除項目は、生命保険金・火災保険金・養育費・香典
過失相殺(418条、722条2項):被害者にも過失があったときは、損害賠償額の算定にあたってこれを計算に入れること。債務不履行は、必要的減免。不法行為は、裁量的減額
被害者側の過失:被害者と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失
不法行為の損害賠償請求権の消滅時効(724条):被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから三年間、不法行為の時より二十年
不法行為の損害賠償請求権の短期消滅時効(724条前段)の趣旨:不法行為は関係当事者の予期を伴わずに発生するのを通例とするから、あまり時間が経過すると成立要件の立証や損害額の認定が困難になること。ある程度時がたてば被害者の感情も平静にもどるから長年たってから事を荒立てるのは妥当ではないこと
請求権競合説:1つの行為が複数の請求権発生根拠を充足する以上、請求権は複数発生し、それらは相互に独立しており相互に影響を及ぼさないとする見解
法条競合説:契約関係にある者の間では契約責任が成立するだけで、一般的な不法行為責任は排除され、法律の条文の形式の上では競合するように見えるが実際は競合しないとする見解
請求権規範統合説:1つの社会的事業が複数の請求権規範の要件を満たすような場合、その複数の規範の内容を調整・統合して、その社会的事実に適合した解決を追求すべきとする見解。種類は、請求権二重構造説、請求権規範競合説、全規範統合説
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